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しまなみで過ごす時間が、少し長く感じる理由

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しまなみで過ごす時間が、少し長く感じる理由

効率のよい直線から、ゆらぎのある曲線へ

しまなみ野外学校がフィールドとしている瀬戸内の島々。ここに一歩足を踏み入れると、多くの人が「なんだか、時間の流れがゆっくりになった気がする」と口にします。

その理由は、私たちが普段の生活で無意識に従っている「効率」という定規が、ここではあまり役に立たないからかもしれません。街中では目的地まで最短距離で移動し、分刻みのスケジュールをこなすことが求められます。しかし、自然の中ではそうはいきません。

潮の満ち引きを待ち、風の向きを読み、時には急な雨に足を止める。効率という直線の動きから、自然のバイオリズムに合わせた「ゆらぎ」のある動きへと変わるとき、私たちの時計の針は、少しずつその速度を緩めていきます。

「根っこ」を育てるために必要な「空白」の時間

私たちは、しまなみ野外学校の活動において「生きる力を育む」ことを大切にしています。この「生きる力」を一本の木に例えるなら、それは地面の下に隠れた「根」の部分です。

立派な枝葉を広げ、果実を実らせるためには、まずはその重さを支える強く大きな根っこが必要です。そして、根が大地に深く、広く伸びていくためには、静かに土と向き合う「空白の時間」が欠かせません。

現代の子どもたちや私たち大人の日常は、どうしても「目に見える成果」や「枝葉の成長」を急ぎがちです。しかし、しまなみの自然の中で過ごす、一見すると何でもないようなゆったりとした時間は、実はこの「根っこ」を育てるための最も贅沢で、最も重要な養分となっているのです。

研ぎ澄まされる感覚、遺伝子へのスイッチ

「遺伝子にスイッチを」。 これは私たちが掲げている大切な言葉の一つです。自然の懐に深く飛び込み、不便さやままならなさを肌で感じるとき、私たちの内側に眠っている本能的な感覚が呼び覚まされます。

波の音がいつもよりクリアに聞こえる。 潮の香りの変化で天気を予感する。 暗闇の中で、わずかな月明かりに安らぎを感じる。

こうした体験を通じて五感が研ぎ澄まされると、時間の感じ方はさらに変化します。濃密な体験は、1時間を1日分のような重みに変えてくれるのです。しまなみで過ごす時間が長く感じるのは、私たちが「今、この瞬間」に全身で向き合っている証拠なのかもしれません。

しまなみの風土が教えてくれること

しまなみの島々には、自然と共生してきた人々の暮らしの知恵や文化も息づいています。海を渡り、山を歩き、この土地の風土に触れることは、自分たちが大きな循環の一部であることを思い出させてくれます。

ただ「自然を鑑賞する」のではなく、自然界の一部として「そこで過ごす」。 そんな実体験の積み重ねが、よりよい未来を築くための「問い」を育んでくれます。

ふと立ち止まり、しまなみの風に吹かれながら、自分の内側にある根っこに意識を向けてみる。そんな時間が、これからの日々を歩んでいくための確かな力になると信じています。

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