【報告】FC今治高校 1年生 四国巡礼チャレンジウォーク Bチーム
■四国巡礼チャレンジウォークとは?
FC今治高校里山校の授業として、しまなみ野外学校が担当。四国八十八ヶ所霊場の遍路区間約1400キロを分け、毎年1年生が班ごとに歩いて後輩へとバトンを繋いでいきます。2024年の開校以来、生きる力を育む野外体験教育として実施され、今年で3年がかりの結願を迎えます。
1日目
Bチームの旅が始まりました。
このチームは事前準備の段階では、なかなかうまく協力できていない様子でした。メンバーが全員が揃うことなんて一回もなかったんです。しかし、本番はやってきます。ちゃんと全員が揃いました。いやぁ、よく来てくれたよ。
Bチームは入野海岸〜38番礼所金剛福寺〜真念庵というルートです。
天気ですが、台風の影響もあり、到着時には強い雨を想定していました。ですが、行ってみると晴れ。ただ、現地では不自然な風が吹き、海では波がうねり、空も薄暗く、不気味な感じでした。
そんな中でのスタート。準備不足や、メンバーの関係の弱さが露呈し、ギクシャクな始まりとなりました。いくつか起きていたこと。
・メンバーみんなに共有する必要があることを伝えられず、モジモジする女の子。
・プログラムへの愚痴を、スタッフに直接は言わず、でも聞こえる声で言う男の子。
・歩くペースが早くて、しんどいと呟くけど、みんなには言えない女の子。
・頑張って発された声を全く聞いてないメンバーたち。
・歩きながら誰かと通話を始める男の子。
いやぁ、バラバラでグチャグチャです。普段はそれでいいんだろうけど、このチャレンジウォークではそうはいきません。「スタートした仲間と一緒にゴールする」というたった一つのルールがあるからです。
一緒に歩いている僕はというと、そんな状態を目の当たりにしつつも、なんだか嬉しさを感じています。彼らと一緒に歩くこの時間はとてもかけがえのないものだなと。歩きながら感じたこの感覚を大切にしながら、残りの日々を過ごしていきたいと思っています。
お昼に行ったうどん屋さんを後にする際、店主のおじちゃんが、白衣を着た僕たちに「ありがとう。大変だね。気をつけてね。」とあたたかい表情で伝えてくれました。まだまだスタートしたばかりで申し訳なさもありつつ、なんだか力をもらいました。嬉しかったんです。
ある女の子が満身創痍で歩きながら「この世で最悪な日だ!」と呟きました。そうかそうか。明日はどんな日になるんだろうね?楽しみです。
2日目
昨日の夜のこと。起きていたメンバーで、1日の感想をシェアしたり、歩く中で気になったことを話したり。文句も言ってたかなぁ。間にそれぞれの出身地のこと、趣味、いろんな話をしました。
こうやってみんなで歩いた後に話していると、当たり前だけど、いつも学校の授業で合う彼らとは印象が違います。何より違ったのは、文句を言いつつも、そのことを自分たちでなんとかしないといけないと受け止めている感じです。当事者意識というか。自分もチームの一員。影響を受けることをわかっているような。
そして2日目。昨日の夜に炊いたお米をおにぎりにして朝食。準備も整え出発。そこである女の子がちょっと待ったと。「昨日の晩御飯作り、片付け、やってない人がいたよね?限られた人に負担がかかりすぎだと思う。これが続かないように役割分担しておかない?」という提案。
昨日の文句の内容でした。朝に必ず伝えると考えていたのかな。2日目にして、こうやって気になることを伝えることが少しずつ起こっていました。
トンネルを歩く最中に感じたことですが、一緒に歩いていると、得体の知れない感じから、わからないんだけどわかる感覚があるなと。安心感があるような。一体感があるような。
そんな時にある出来事が。ペース問題です。歩いていると、どうしてもペースが早い子と遅い子が出てきます。最初はある程度お互いに合わせようとしていました。ですが、ここにきてガンガン距離が離れていきます。これ以上離れると、僕自身が彼らの安全を担保できないと思い、先頭の子に話に行きました。お願いは受け取ってくれたものの、ペースが遅い子に対しての苛立ちをワァーッと出す。
次は最後尾の子たちと話してみる。歩くことのしんどさ、足の痛さ、遅れをとっていることへの申し訳なさを話していました。お互いに今感じていることを伝えないと、この状態は変わらないんじゃないかなと伝えましたが、お互いに伝えない。離れたところで違うメンバーに話す。それを全体が感じとって、少しピリピリした雰囲気がこの日を通して覆っていたように思います。
そんな中でも彼らは歩ききりました。そうできたのは、声をかけてくれたり、休憩場所を貸してくれたり、お接待してくださったり、そうした人のあたたかさ。また、美しい自然のおかげだなと。海に触れた際は、彼らは疲れを忘れてはしゃいでいました。
そして、明日ですが最大の試練が待ち受けます。台風が直撃です。そのことを伝えると、明日のリーダーを中心に、みんなで積極的に話し合いながら、明日の行程づくりをガシガシと進め始めました。話し合いに熱がこもっています。天気がスイッチをオンにしてくれました。
明日の状況次第ではこの場にとどまる、避難することもあるかもしれません。どうなるかわからないけれど、この場にいるメンバーで力を合わせ、乗り越えたいと思います。
3日目
昨夜は台風対策を念入りに計画。状況をリアルに想像するほどに、緊張、こわさがでてきます。一生懸命に計画の話し合いに参加していた生徒が「やべぇ…。こわくて寝れんぞ…!」と言っていました。
予定よりも早くに出発することになり、4:30起き。まだ日が出てない暗い中、それぞれが準備を進める。しかし、ここでメンバーの2人が、足の怪我や体調不良を理由に車で同行することに。残ったメンバーで38番礼所金剛福寺を目指し出発しました。
風が強くなる時間を見通し、グングンと進んでいきます。そんな中でも、途中トイレをお借りした方に宗田節をいただいたり、コーチと会って状況を交わしたり。全員が足の痛さを抱えながら歩き、しんどさを持ちながらも、出会った人に力をもらい、一歩一歩を積み重ねていきます。
そして着きました、金剛福寺。お遍路ネットワークの方々にお接待もしていただき、全員で参拝。これで結願に近づきました。
その後は、昼食、風も波も強い圧巻の足摺岬見学、3日目にして初めての温泉。天気は強い雨風もありましたが、弱まる瞬間をうまく使いながら各地を巡っていきました。
そして、宿泊場所に到着。歩けなかったメンバーが食事を作りながら迎えてくれました。自分たちにできることを考え、動いてくれていたメンバーに感謝。肉じゃが、美味しかったなぁ。その後は、振り返りと行程確認を行い、3日目が終了しました。
と、ここまで読むと順調そうに見えますが、いえ、そんなことはありません。出てきたこと、出てきてないこと含め、いろんなことが起こっています。その対応で目まぐるしい時間を過ごしています。僕の気持ちも大きく揺れ動いています。
楽しくて、苦しくて、苦しくて、でも投げ出すなんてありえないから、ひたすら向き合って、考えて。揺れた時は1日目に感じた、彼らと一緒に歩ける喜びを思い出し、確認して、立ち戻る。4日目も彼らと進んでいきます。
4日目
台風もなくなり、今度は陽射しが強く、暑さが気になる1日。
疲労も溜まっていて、ここまで順調に歩いていたメンバーも、足の痛みを気にする仕草が見え始めました。目的地まで距離もあるため、そんな状態の中でも淡々と一歩ずつ歩みを進めます。そして、今日も無事に宿泊地に到着しました。
ここまで積み重ねると、タフになったなぁと感じる発言が出てきました。「残り何㎞?」「5㎞!」「お!もうすぐじゃん!」と。歩くと1時間以上かかる道のりも、今の彼らにとっては朝飯前。kmで瞬時に大体の時間も計算できるようになりました。
ここまで一緒に歩いてきて、本当に彼らはよくやってるなと。頼もしくなったなと、ふと思いました。たった数日間だけど大きな変化。すごいです。
実は今日、全員にとって今回の旅で1番大きなことが起こりました。メンバーの1人が離脱したんです。「スタートした仲間と一緒にゴール」することは難しくなってしまいました。
今日1日、全員がこのチームの一員として、今回起こったことにどう反応するのかについて考え、出し合う。そんな時間を過ごしました。起きたことはショックでしたが、図らずもこの機会が一人ひとりの考えや感じることを全員でじっくりと聞く時間になりました。
「人生において起こることは全て、その人に必要なことが起こる」。今日を通して、僕の頭の中に何度も浮かんできた言葉です。そうだなと受け入れて、また進んでいきます。
明日は最終日!
5日目
メンバーの1人が離脱したことについて、同じチームの一員として、自分たちはどう考え、どう感じているのかについて話し合った4日目の夜。
僕たちの結論は、「そのメンバーは自分なりのゴールをした。僕たちが歩ききることで、一緒に歩いたメンバー全員がゴールしたことになる。だから、最後まで歩ききろう。」というものでした。これは残りのメンバーの今の答え。
そして、最終日の今日、無事にゴールの瞬間を迎えました。
終わりを迎えて、バスを待つ間、メンバー数人に感想を聞いてみました。お遍路はどうだった?
「参加してよかった。きつかったけど、こんな経験はなかなかできないと思う。」
「途中から足の感覚がなかった。限界だったけど、最後までやり切れたことが嬉しい。参加してよかった。」
「よかった。準備の段階では、このチームで歩き切れるなんて思えなかった。でも、やれた。頑張ってきてよかった。」
それぞれがこの体験をポジティブに捉え、前向きな感想を伝えてくれました。
学校に帰り、他のチームとも合流。「お疲れ様!」と自然にハイタッチ。お互いによくやったよねと労うように。彼らの表情が印象的で、かわいくなったなと。柔らかくなったというのかな。うまく表すことができないけど、それぞれが乗り越えたものがあり、それが伝わってきました。
終わった後、しまなみ野外学校メンバーで振り返りをしました。今回の起こったことについて共有。来週には後半のチームのお遍路がはじまります。そこに向けて、改善できることについて話し合いました。
今回のチャレンジウォークを終えて、僕の中にはモヤモヤが残っています。本当にこれでよかったのだろうか?もっとやれたことがあったんじゃんないか?まだまだ消化できていません。それでも、彼らと歩けた喜びは変わらず感じています。今回の経験を大事に、また次のチームとの旅に備えます。
Bチームのみんな、ありがとう。関わってくれた全ての方々、本当にお世話になりました。ありがとうございました。
【この記事を書いたスタッフ】