【スタッフが感じたこと】第11回 島の冒険キャンプ supported by URBAN RESEARCH
第11回 島の冒険キャンプにボランティアスタッフとして参加してくれた「かんだい」と「こうた」。
彼らに終わってみての感想を聞いてみました。
| かんだい
僕がスタッフとして参加して感じたことや考えたことなどを書き残します。
〈気持ちの変化〉
最初は10日間を楽しみにしてた一方で、不安や緊張もありました。 自分自身が無人島で生活するのは初めてですし、子どもたちにとっても初めての経験です。いつも通りの生活ができない状況のなか、どう生き抜いていくのか不安に思っていました。 ですが子どもたちは、緊張や不安を表に出すこともなく、最初から「楽しみ!」「どんな生活をするんだろう?」とワクワクしている様子でした。
日が経つにつれて、Aチーム内で仲間割れが起きる場面もありました。2日後にはシーカヤックを漕いで島の反対側へ行くと決まっていたのですが、そこから数日経つと彼は気持ちを切り替え、チームの一員として一緒に行動できるようになりました。 このように、みんなが必ずしも同じ気持ちでいられるとは限りません。それでも最後までゴールできたのは、子どもたち自身の力があったからこそだと感じました。
〈感じたこと〉
僕がこの旅で感じたことを一言で表すと「苦楽」です。 なぜこの言葉を選んだかというと、今回の旅では、普段の生活ではなかなか経験できない楽しいことや新しい発見がたくさんあったからです。仲間と一緒に過ごした時間、初めて見る景色、普段とは違う環境での生活など、ワクワクする瞬間がたくさんありました。その一方で、思い通りにいかなかったり、体力的に辛かったり、仲間と意見が合わなかったりと、苦しいと感じる場面もありました。
しかし、そうした苦しい経験があったからこそ、何かを達成できたときの嬉しさや、仲間と協力して乗り越えたときの達成感をより強く感じることができました。最初は「大変そうだな」「最後までできるかな」と思っていたことでも、実際に挑戦してみると少しずつできることが増え、自分自身の成長にも気づくことができました。また、楽しい時間だけでなく苦しい時間も共有したことで、普段以上の深い関係を築けたと感じています。
この旅を通して、楽しいことだけが思い出になるのではなく、大変だったことや苦労したことも含めてすべてが大切な経験になるのだと学びました。苦しいときには「早く終わってほしい」と思うこともありましたが、振り返ってみると、その経験すらも愛おしい思い出の一つになっています。「苦」と「楽」の両方があったからこそ、より充実した旅になったのだと思い、「苦楽」という言葉を選びました。
〈考えたこと〉
今回の旅を通して、普段の生活が当たり前ではないということを改めて考えさせられました。無人島では、普段なら簡単に手に入る水や食べ物、電気などが限られており、一つひとつのありがたさを強く実感しました。また、子どもたちと10日間一緒に過ごす中で、人は一人では届かない場所でも、仲間と協力することで乗り越えられるのだとわかりました。
スタッフとして子どもたちを見守っていると、最初は不安そうだった子たちが、日が経つにつれて自分から考えて行動したり、仲間に声をかけたりするようになっていきました。その姿を見て、人が成長するためには答えを教えてもらうだけでなく、自分で考え、失敗しながらも挑戦していくことが大切なのだと学びました。
旅とは、ただ楽しい場所へ行ったり非日常を体験したりするだけでなく、自分自身の考え方や価値観を変えるきっかけになるものなのだと思います。大変なことや苦しいことがあったからこそ、仲間とのつながりや達成感、そして日常のありがたさに気づくことができました。今回の旅で得た大切な気づきを、これからの日常や人との関わりの中でも活かしていきたいです。
| こうた
「スタッフとして、ちゃんと全体を見て安全管理をしなきゃ」
9泊10日の無人島生活が始まった初日、僕は無意識に自分へブレーキをかけていました。過去にオルタナティブスクールへ通い、安全管理を「受ける側」だった経験があるからこそ、どこか引きの視点で場を見てしまい、トラブルが起きないように立ち回ろうとしていた自分がいたのです。子どもたちの輪の中ではなく、その外側から。
しかし、1日目の夜に行ったスタッフ同士の振り返りで、「トラブルのない旅なんてつまらない」「自分の気持ちも優先して、もっと自然体でいよう」と思い直しました。全体を引きで見る役割はチューター(社員・指導役)に任せ、自分は誰よりも子どもたちに近い「仲間」として、チームの中に飛び込もうと決めました。
綺麗にいかない現場と、邪魔をするプライド ですが、実際に飛び込んでみると、そこは思い通りにいかないことの連続でした。 冒険が進むにつれて様々なアクシデントが降りかかり、その度に意見が割れ、ときには相手へのリスペクトを欠いた言い争いに発展することもありました。かといって本気でぶつかり合えるわけでもなく、「もういいや」と諦めてしまう子や、泣き出してしまう子もいました。
その都度、自分の中で「平和なエンディングにまとめようとしていないか?」「スタッフという不純物を挟まず、どこまで見届けるべきなのか?」と、関わり方にずっと悩み続けていました。
さらに5日目を過ぎたあたりから、普段なら当たり前にできているはずの自己内省すら自然とできなくなり、集中力が切れていく自分を感じていました。逃げ場のない環境だからこそ、自分の至らなさや、ちっぽけなプライドに嫌でも向き合わされることになりましたが、それは自分にとって非常に大きな経験となりました。
子どもたちの「1日の充足度」
そんな中で、ハッとさせられたのは子どもたちの姿でした。 スマホもない無人島で、彼らは「明日どうするか」といった長期的な計画ではなく、「今日という1日をどれだけ充実させるか」だけに全エネルギーを注いで動いていました。 Aチームのみんなの発言や行動を見ていて、「今日という日を最高にするために全力を尽くしているんだ」ということが強く伝わってきたのです。
「とてもシンプルで、一番大切なことを自分は忘れていた」 頭で難しく考えてブレーキを踏んでいたのは自分だけで、目の前の一瞬一瞬に本気になっていたのは、子どもたちの方でした。
日常へ戻って
無人島での10日間は、立派なスタッフとして子どもたちに何かを教えた時間ではなく、自分の中の余計なものが剥がれ落ち、丸裸の自然体で子どもたちと向き合った時間でした。
日常に戻ると、どうしても失敗しないように先回りして計算したり、未来のことばかり考えて「今日」をおろそかにしてしまいがちです。 けれど、あの逃げ場のない環境で子どもたちと一緒に感じた「今日を本気で生きる感覚」を忘れず、これからの自分の挑戦にもブレーキをかけずに飛び込んでいこうと思います。
10日間、一緒に過ごしてくれたみんな、本当にありがとう! そして、子どもたちを信じてこのプログラムに送り出してくださった保護者の皆様、本当にありがとうございました。