【報告】FC今治高校 1年生 四国巡礼チャレンジウォーク Eチーム
■四国巡礼チャレンジウォークとは?
FC今治高校里山校の授業として、しまなみ野外学校が担当。四国八十八ヶ所霊場の遍路区間約1400キロを分け、毎年1年生が班ごとに歩いて後輩へとバトンを繋いでいきます。2024年の開校以来、生きる力を育む野外体験教育として実施され、今年で3年がかりの結願を迎えます。
1日目
やってきました後半チーム。Eチームは15人。ルートは十夜ヶ橋〜大宝寺〜岩屋寺〜久万青銅之回廊までです。
Eチームは個性が鮮やかで(髪の色も鮮やか)、まとまりもあるチームという印象です。事前準備も話し合いを重ねながら、順調に進めてきました。だからといって、本番がその通りにいくのかはまた別の話。さてどうなるのか?
学校に集合。荷物の最終チェック。その後、さっそく我々スタッフから行程について気になっていることを伝える。実は初日の宿泊地は狭く、泊まれない可能性があることを事前に伝えてました。そのためバックアップを川沿いの空き地で考えてましたが、天気は雨。そのため新しい選択肢をバスの中で考えて欲しいと。
そしてバスは出発。スタート地点に到着し、円陣を組んで、気合いを入れて出発。彼らはちゃんと新しい宿泊地を決めていました。ですが、予定の距離は伸び、1日目にして24kmを歩きます。
大洲市内から内子町へ。まちから山へと進んでいきます。稲が黄色く色づき、緑と茶色がまばらな栗の木、道中の無人販売所には梨や柿の表記。秋ですね。いきなり雨に打たれましたが、終盤は晴れへと変わり、とっても歩きやすい気温でした。
僕は前半チームとも歩きましたが、歩くメンバーが変われば当たり前ですが、全く雰囲気も違います。Eチームは初日からにこやか。英語ができるメンバーも多く、海外からの観光客の方に自分たちから手を振って近づく。出会う人たちと関わりながら進んでいく姿が印象的でした。
距離はあったものの、無事に宿泊地に到着。頑張った分、お腹はぺこぺこ。テントをさっとたてて、カレーづくり。素晴らしく美味しいカレーができていました。「食べ物って本当にありがてぇ。」ある男の子の言葉。みんなでつくって食べるごはん、本当に有難いよね。あっという間に完食。
そんなこんなで今は片付け中。少し離れてこの文章を書いていますが、彼らのキャッキャっと楽しい声が聞こえてきます。
まだまだお遍路は始まったばかり。今日は触れていないですが、至る所で小さいけれど、いろんなことが起こっています。この後、どうなっていくのか。またまた楽しみです。
2日目
1日目に長い距離を歩いた分、2日目の距離は軽減されました。なので朝も遅めの起床。といいつつ、早めに起きてくるメンバーも。慣れないテント泊、また夜から冷え込んだので、うまく寝れなかったようです。
朝ごはんづくり、出発準備もゆったり。そして朝10時にスタート。川沿いを歩き、山へと向かっていきます。
道中に湧き水が数箇所あり、冷たい水を補給したり、体を冷やしたり。この日は距離もある程度で、余裕がある状態でゴール。
宿泊地は由良野の森でお世話になります。鷲野さんご夫婦にあたたく迎え入れていもらい、いただいた絞りたてのリンゴジュースで乾杯。美味しくて、美味しくて。疲れた体に沁みました。
その後は夕食準備。1日目もそうですが、2日目も手際のいい女の子を中心に、17人分のごはんをダァーッと調理。頼もしい限りです。
その後、焚き火を囲んで鷲野さんとのお話会。メンバーからのたくさんの質問に対し、一つずつ丁寧に対応いただきました。僕が印象に残っている鷲野さんの言葉は「人は生きるために働くとよく言うが、生物や動物は生きているから働く。」「夢は今はないかな。今やりたいことを既にやっている。」「強いて言えば、それぞれに必要とされる働きがあり、自分も必要な働きができるといい。」というものでした。
その後はメンバーの話し合い。歩き方や、チームで動く際に気になること。お互いの要望を伝え合う時間でした。そしてなんと、あるメンバーの一言でどこかのスイッチが入り、それぞれの思うことがバンバンと溢れるように出てくる事態に。これが吉とでるのか、はたまた…。思わぬ事態ですが、どうなっていくのか。いや、いい時間になるようにみんなでどうにかしていきます。3日目も頑張ります。
3日目
昨晩は夜遅くまで、いろんな場所で話す姿が見えました。疲れてるから早く寝て欲しいなと思いながら、何度かの声かけでやっと静かになりました。
そして朝。1日目に比べて起床時間前に起きていた人は僅か。寝るのが遅かったし、疲れもあるのかな。朝にかけて寒さも厳しかったですが、みんな寝れたようでした。
朝ごはんはお茶漬けと、コーチからの差し入れのぶどう。美味しくいただいた後、昨日の夕方から合流していた、スタッフのがってんからの話。「昨日の夜の話聞いてたよ。みんな頭を使って難しく考えすぎじゃないかな?今、みんなは初めてこんなに身体を使っていると思うんだ。身体の感覚も大事に、いろんなことを感じてね。」「白黒ではなく、グラデーションって大事よ。瞬時に相手に反応するんじゃなくて、一回自分の中でちゃんと感じて、グラデーションにして出す。やってみてよ。」と。
昨日の夜の話し合いですが、早口、高速やりとり、乗っかり。賢い子たちだからこそ、そういったラリーの応酬でした。がってんの言葉をそれぞれが受け取っていたようでした。
その後は急遽、鷲野さんのご厚意で、育てている苗木のポッド入れ替え作業を体験。昨日の夜に鷲野さんの森の再生のお話も聞いたこともあり、みんな丁寧に作業していました。「苗木を触るみんなは、自然と可愛い顔になっている」byスタッフ
お世話になった由良野の森を後にし、44番札所大寶寺を目指して歩き始めます。出発するにあたってお礼を伝えた時、「あなたたちは希望だよ。」と言ってもらいました。
実は1人の男の子がお遍路前に怪我をしてしまい、歩かずに車両で同行していました。あまり口数も多くなく、声も小さめの彼が、出発の際、「がんばってねー!いってらっしゃい!」と大きな声で伝えてくれました。
昨日の夜の少しピリッとした話し合いが嘘のように、楽しく歩いているメンバーがいました。時々歌を歌い始めて、みんなで歌っちゃう。自分から興味をもって合う方々に挨拶できる。休憩の時に誕生日の話でみんなで盛り上がっちゃう。いやぁ、本当に気持ちがいい子たちです。素直で、一緒に歩いていてなんて楽しいんだろう。今日は彼らの力のある姿をいろんな場面で感じた一日でした。
無事に大寶寺で参拝でき、住職にいろんなことを教えてもらい、宿泊地にも到着。ただ、残念なことに男の子2人が発熱。彼らは最後まで諦めず、みんなでゴールしたいと言っていましたが、熱がどんどんと上がってしまい、無念の離脱。残ったメンバーで体調にも気をつけながら先に進みます。
離脱した2人、ゆっくり休んで早く体調よくしろよ!よくなったら続きの旅の話をみんなでしような!
4日目
終わりが近づき、なんだか嬉しいような、寂しいような、そんな4日目を迎えました。
2名の体調不良が出たこともあって、他のメンバーは大丈夫かなと心配しながら眠りにつきました。起きてみると、よかったぁ。みんな元気。早めに寝たことがよかったみたいです。天気も良く、なんだかご機嫌。
もう慣れっこの朝のいろいろを終わらせ、いよいよ出発の時。再び居合わせた、がってんからメッセージ。「目を瞑って聞いて。冷えたところに、今みたいに陽射しが出てきてあたたまると風が起こるのよ。五感はね、第六感をつかえるようにするためにあるんだよ。今日も歩いている中で、たくさんのことを感じてね。」
そのメッセージを受け取ったからか、お遍路道を歩く際、鳥の声、虫たちの存在、木々の間から見える美しい景色。それらに反応する彼らの姿が印象的でした。
距離は短くも、傾斜のきつい山道を抜けて、やってきました45番礼所岩屋寺。そびえ立つ大岩に圧倒されます。参拝後、住職のお話を聞く時間を過ごしました。
ここで彼らの力を発揮。彼らはいい間で反応するんです。普段の話し合いでもあまり沈黙をすることがなく、ポンポンと自分が思ったことをその場に出します。大人たちだと、考えすぎたり、空気を読んだりして、変な間が生まれたりしますが、彼らはそれがない。住職に対して、質問が出るわ出るわ。普段から人に関心を持って関わっていることも通じてるのかなとも思いました。
住職の話で印象に残ったこと。Q:休日はなにしてますか?A:休みはないかな。いつもが休みともいえるような。仕事何してますか?の問いかけに、お坊さんですというのは抵抗があるんだよね。というのも、お坊さんというのは生き方だと思うから。」
住職とたっぷりやりとりし、お寺を後に。次に向かったのは温泉。簡易シャワーはキャンプ場にあったものの、この旅で初めてのお風呂。極楽でした。十分に満喫してキャンプ場に戻ります。
途中まで歩いていた時、ある出来事が。1人のメンバーがスマホを温泉に忘れてしまったようです。ここでおっと思いました。メンバーはどう反応するんだろうと。
反応は「じゃあ全員で戻ろう!」「今日は距離も短かったし、ちょうどいいや!」「大丈夫、気にしないで!」いやいやお前らってやつは。文句を言う、嫌な顔をする、そんな素振りなんて一切ない。すごいなぁと。
お遍路を通して考えていたことですが、「一緒にスタートした仲間とゴールする」というルールがある以上、関わりが必要になります。それがうまくできないとずっとそこに終始してしまい、他のことに目がなかなかいきません。Eチームはそこをさくっと乗り越えれるからこそ、出会いや、感じることに目がむき、楽しめるんだなぁと思いました。
もちろん全てのメンバーが相性がいい訳ではないと思います。思うところもあるんでしょう。ただ、今回はそこを置いているというか。逃げているではなく、他のことにフォーカスを当てているというか。またまたすごいなぁと。
今日も無事に宿泊地に到着。最後の夜ということもあり、わいわいご飯をつくって食べ、思い思いに過ごす、そんな夜の時間になりました。いい時間でした。
明日は最終日。最後まで楽しく、いろんなことを感じながらいけたらいいな。みんなが寝静まって、暗闇にテントがポツポツと並ぶ景色を見て、僕は寂しい気持ちです。
5日目
いよいよ最終日の5日目。今日の朝もとても寒く、みんなが震えながら起きてきました。テントや荷物の片付け、朝食準備。
その様子を眺めていたのですが、みんな混ざってるなぁと。最初はそれぞれって感じだったけど、今は一つの塊って感じ。距離感も近くなったなぁ。
そして出発。出発後すぐに離脱していたメンバーの1人が合流。よく回復して戻ってきてくれた。その子が歩き出してすぐに近くに寄ってきて、「なんか雰囲気がよくなってる気がする。なんかあった?なんか話したの?」と。
特別なことがあった訳じゃないんだけど、一緒に歩いて、歌って、参拝して、ご飯を食べて、お風呂に入って、一緒にスマホを探しにいって、またご飯食べて、話し合いをしたぐらいかな。その中で僕にも見えていない、メンバーそれぞれのやりとりがあって。
特別でなくても、そんな一つひとつがこの雰囲気をつくったんだろうねと。その時は言わなかったけど、今はそう思います。
不思議とこのチームと歩いていると、細かなことに気にならない自分がいました。細かく見ると、役割をサボってるなぁとか、今の発言気になるなぁとか、今あの子怒って我慢したなぁとか。普段なら介入することもあるんですが、今回はあまりしませんでした。というかしなくてもいいと判断していたんだと思います。たぶんそれはこのメンバーで、この雰囲気だったからかなぁ。本当に力がある子たちだなと感じていました。
途中に寄った道の駅では、通りかかったおじさんがパンを大量に買ってくれました。自分もお遍路の経験があって、みんな頑張ってねと。
そして念願のゴール。バスでスタジアムに移動し、他チームと合流。その後、学校までみんなで歩きました。これで結願。
終わってみて、振り返ってみて、清々しい気持ちです。このチームは本当に気持ちがよかったなと。それぞれが素直で、愉快で、優しくて。こんなにも豊かで大変な5日間を一緒に過ごせたことに喜びを感じています。
寒暖差が激しく、なかなかタフな日々でしたがみんなよく頑張ったな。このメンバーなら軽々と乗り越えちゃうか。
Eチームのみんな、5日間ありがとう。いや、みんなは本当に希望だよ。みんなのこれからが楽しみで仕方がない。これからいつも関われる訳ではないけど、また授業で、それ以外でも会った時は楽しく話をしようね。みんなのことを大事に思ってるし、応援してるよ。
【記事を書いたスタッフ】